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私の地元長野県では「ピンピンコロリ」という言葉があります。
健康寿命の長さを言い表した表現で、「病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝込まずにコロリと死ぬこと」という意味があります。
この“ピンピンコロリ”という亡くなり方は、本人もまわりの方々にとっても幸せなことなのではないかと感じる部分が多くあります。
今回は健康長寿の大切さについて。
そして、“健康長寿”の秘訣はなんなのか、学びを深めて参りました。
この記事を読んでいただいた方が少しでも、ご自身の、ご家族の、ご友人の“健康寿命”を考えるきっかけになっていただけたら幸いです。
それでは本文です。
1940年頃の日本の平均寿命は男女ともに約45歳でした。
そこから約80年後、現在の日本の平均寿命は男性81歳、女性87歳とされています。
ここまで平均寿命が増加したのは、医学の進歩が最大の要因と考えられます。
では、健康寿命はどうでしょうか。
健康寿命は1940年から現在まで、平均寿命から約マイナス10歳程度とされています。
この“マイナス10歳”という数字は、約80年間変わらずにいます。
“生物学的寿命と健康寿命の差が縮まらない”
医学が進歩し、平均寿命や健康寿命が増加していることは素晴らしいことです。
しかし、ここまで進歩しているのであれば、この“マイナス10歳”という数字も下がるべきではないでしょうか。
超高齢化社会
2050年には、平均寿命は男性84歳、女性90歳。
さらに100歳以上の人口は50万人を突破。
1.5人に1人が高齢者になると推計されています。
(2000年には4人に1人)
日本はまだ世界で体験したことの無い未曾有の超高齢化社会へ突入します。
この日本の現状をより良くするには、健康寿命の延伸が必要不可欠であることは間違いありません。
健康寿命の定義
健康寿命と言っても、定義はあるのでしょうか。
厚生労働省の定義では「介護を必要とせず健康的に過ごせる期間」
とされています。
1.5人に1人が高齢者となる日本では、高齢者の一人一人が介護を必要とせずに健康的に過ごせる必要があります。
健康寿命を脅かす三大要因
国民生活基礎調査では、高齢者が要介護になる原因として、
1位「運動器の機能低下」
2位「認知症」
3位「脳卒中」
とされています。
よって、これらの予防を行うことが、健康寿命の延伸につながるということがわかります。
運動の重要性
三大要因それぞれの主な原因として、
「運動器の機能低下」
→加齢に伴う筋萎縮・筋肉低下
「認知症」
→運動不足、脳の血流障害、脳萎縮
「脳卒中」
→メタボリックシンドローム、動脈硬化、高血圧、高脂血症
上記の3つの予防すべてに共通して言えることが“運動の習慣をつける”ということです。
近年、ありとあらゆる様々な健康法が取り上げられていますが、まずは大前提「運動習慣」が何よりも大切です。
運動習慣があることが前提で、プラスアルファ様々な健康法を取り入れていくことが重要となります。
週末だけの運動でも健康効果を得ることはできる
・運動と言っても毎日続けなければ意味がないのではないか。
・少しの運動じゃ意味がないのではないか。
・時間がないから継続した運動ができない。
運動をしたほうがよいのは理解しているが、様々な理由からなかなか踏み出せていない方が多いのではないでしょうか。
実は、週に1日2日しか運動しない「週末戦士」でも、健康効果を得ることはできるということがわかっています。
世界保健機関のガイドラインでは、週に150分から300分の中程度の強度の運動を推奨しています。
その研究によると、運動はいつするかにかかわらず、健康増進につながるということです。
平日に運動する時間がなくても、1週間に推奨される運動量を、休日に全てこなすことで健康効果を得ることが可能ということが明らかになっています。
・週に1回、150分の運動を行う。
・週に2回、75分の運動を行う。
・週に5回、30分の運動を行う。
・週に7回、20分の運動を行う。
どのパターンにかかわらず、十分に運動をおこなっている人は、運動をしていない人よりも早期死亡の確率が低いことがわかっています。
また、世界保健機関では、早歩きや庭仕事といった中程度の運動は週に150分〜300分。
ランニング、ハイキング、ジムでのエクササイズといった激しい運動であれば週に75分〜150分行うことを推奨しています。
よって推奨される全体的な運動量をこなしていれば、週に何日運動するかは問題ではないことが研究によってわかりました。
20分程度のウォーキングを毎日でも、ハイキングを週に1日2日でも、運動することで健康寿命延伸につながるということです。
大切なことは、ご自身の体力やライフスタイルに合った運動を選択することです。
運動による三大要因の予防
人の筋肉は運動をしていない場合、30歳を超えたあたりから1年に1%のスピードで萎縮し、筋肉量の低下を引き起こすことがわかっています。
特に足腰体幹の筋肉の萎縮のスピードは非常に速いとされており、この筋肉の萎縮が身体に様々なデメリットを引き起こします。
①運動器の機能低下
足腰の筋肉量が低下することで、特に転倒・骨折のリスクが高まります。
特に高齢者に多い大腿骨の骨折は要介護の原因につながります。
また、膝・股関節・腰は筋肉量の低下によって関節の負荷が増加し、関節痛などの症状を引き起こします。
②認知症
運動をしていない人は、運動をしている人に比べて認知症のリスクが2.8倍も高いことがわかっています。
運動により筋肉を使うと“イリシン”という認知症を予防する物質が分泌されます。
これは脳の記憶を司る“海馬”という部分に働き、神経細胞の増殖と保護を行います。
また、運動によってこの“海馬”の血流量が増加することもわかっています。
以上のことから筋肉をよく動かすことが認知症予防のポイントとなります。
③脳卒中
脳卒中の予防には
・メタボリックシンドロームにならない
・高脂血症にならない
・糖尿病にならない
ということが重要になります。
筋肉は人体の60%の熱を産生します。
この熱を発生させるタンパク質を“サルコリピン”といいます。
この“サルコリピン”がないと、
・高脂肪食で太りやすくなる
・血糖値が上がる
という問題が生じます。
よって、
筋肉量の低下
↓
冷え性・低体温
↓
基礎代謝の低下
↓
肥満
↓
高脂血症や糖尿病
という流れで脳卒中のリスクが増加します。
食事を減らすダイエットは簡単で効果的ですが、同時に筋肉量も低下しリバウンドの原因となります。
筋肉量を増加させることが脳卒中予防のポイントとなります。
筋機能・運動機能チェック
では、ご自身のお身体がどの程度衰えているのか、簡単なチェック法を紹介いたします。
◎2ステップテスト
このテストは歩幅を調べることで、下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価します。
【方法】
1.スタートラインを決め、両足のつま先を合わせます。
2.できる限り大股で2歩歩き、両足を揃えます。
(バランスを崩した場合は失敗とし、やり直します。
3.2歩分の歩幅(最初に立ったラインから、着地点のつま先まで)を測ります。
4.2回行って、よかったほうの記録を採用します。
5.次の計算式で2ステップ値を算出します。
2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値
日本整形外科学会公式サイトから引用
この2ステップ値が、
1.1以上1.3未満
→運動機能の低下が始まっている状態
0.9以上1.1未満
→運動機能の低下が進行している状態
0.9未満
→運動機能の低下が進行し、日常生活に支障をきたしている状態
こちらの値を参考にご自身の運動機能をチェックしてみましょう。
1.3未満であれば運動習慣を見直す必要があると考えられます。
◎立ち上がりテスト
このテストは下肢筋力を測ります。座った姿勢から立ち上げれるかによって下肢の筋力を評価します。
【方法】
1.10cm、20cm、30cm、40cmそれぞれのの椅子に両腕を組んで腰かけます。
2.両脚は肩幅に広げ、膝は70度程度の角度になるようにします。
3.左右どちらかの脚を上げ、膝は軽く曲げます。
4.反動をつけず片足で立ち上がり、そのまま3秒間姿勢を保持します。
日本整形外科学会公式サイトから引用
20代は20cm、30代は30cm、40代以上は40cmのクリアが理想的です。
70代以上は両脚で10cmをクリアできる状態であることが理想的です。
上記が1つの基準にはなりますが、高齢になっても片足で40cmをクリアすることを目標に運動に励むことをおすすめいたします。
老若男女誰でもできるおすすめトレーニング
社会人で時間がない、高齢で怪我を恐れて運動ができない。
そんな方におすすめのトレーニングは“スロースクワット”です。
“スロースクワット”は自分の体重を利用する自重トレーニングなので、けがをする心配もなく、安全に取り組むことができます。
“スロースクワット”の特徴は、ひとつひとつの動きをゆっくり休みなく4 秒間かけてゆっくりとしゃがみ、4秒間かけてゆっくりと立ち上がります。
すると、筋肉内の血流が制限され酸欠状態になり、重い負荷をかけてトレーニングを行ったときと同じような筋内環境になります。
これにより、少ない回数でも筋肉が疲労して“きつい” と感じるため、筋肉を効率よく鍛えることができます。
重要なのは回数ではなく、「きつい!」と感じる自分の感覚。
まずは「きつい!と感じる回数× 3 セット」を目指しましょう。息を止めず、自然に呼吸しながら行ってみてください。
【スロースクワットの方法】
1.脚を肩幅に開き、手を前にまっすぐ伸ばします。
2.ゆっくりと4秒かけて腰を落としていきます。
3.太ももと床が並行になるまで腰を落としたら4秒かけてゆっくりと上がります。
4.4秒かけて上がったら、膝を伸ばし切る前にもう一度腰を落とします。
5.この動きを「きつい!」と感じる感覚まで繰り返していきます。
※意識するポイント
・腰を落とす時は膝がつま先を超えないようにすること。
・重心はかかとにする。
・膝は内にも外にも行かず親指と人差し指の方向に。
・膝を伸ばし切らない。
まとめ
健康長寿のための運動の重要性について、詳しく書かせていただきました。
超高齢化社会を迎える日本にとって、健康寿命の延伸は最大の課題だと感じます。
これから高齢を迎える方、高齢者と共に暮らすご家族、高齢者の友人がいる方。
この記事をきっかけに少しでも、日常の生活に変化があれば幸いです。
人は“動物”です。
“動く”
“物”です
人は動いてこそ、人であり続けるのかもしれません。
ぜひ、日常生活に運動を!
最後までご覧いただきありがとうございました。
ラスバル整骨院
栁澤 昂希
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