膝関節痛（60代男性）

今回は“膝関節痛”のケースレポートです。

＊個人情報保護の観点で必要最低限の情報でお伝えさせていただきます。

主訴・目的

数週間前から、サーフィンをしている際に膝を深く曲げると膝の内側に痛みや違和感を感じる。

日常生活での痛みはないが、サーフィン時の痛みと違和感を改善したい。

患者様のお身体の状態

①内側広筋の弱化

膝の前内側にある筋肉が弱くなってると判断いたしました。

この筋肉の弱化は慣れていると筋肉に触れることで判断できます。

内側広筋は膝の内側を守る、最も大切な筋肉。

変形性膝関節症の改善のためにはこの筋肉が十分に使える状態でなければなりません。

②膝蓋下脂肪体の圧痛と硬結

膝蓋下脂肪体とは膝のお皿の下にある脂肪の塊です。

この膝蓋下脂肪体は膝の動作の際に膝の負担を和らげる、潤滑剤やクッションの役割を担います。

通常であれば押しても痛みは出ないのですが、硬くなっていたり、炎症を起こしていると押した際に痛みを感じることがあります。

患者様の膝蓋下脂肪体は硬くなり、押すと痛みと違和感がありました。

よって、膝蓋下脂肪体としての機能を果たしていない状態であり、膝に負担をかけている一つの要因であると判断いたしました。

③下腿外旋位

下腿外旋というのは簡単にいうと膝から下が外に捻れているということです。

人の体はももの外側を優位に使う傾向があります。よってももの外側の筋肉は硬くなり発達し、内側は弱くなりやすい傾向があります。

今回の患者様もその傾向があり、先に述べた内側広筋の弱化と共に外側の筋肉が硬くなり、その筋肉に引っ張られ、膝から下が外側に捻れている状態でした。

この状態は内側の靭帯や筋肉を引っ張り、さらに内側の半月板などに負担をかけてしまう原因となります。

④股関節と足関節の可動域減少

膝の上にある股関節は外旋可動域の減少（膝を外に開く動き）

膝の下にある足関節は背屈可動域の減少（つま先を上げる動き）

が確認できました。

膝の上下にあるこの２つの関節は、膝の動きにも非常に関係が深く、これらの動きが悪いと膝への負担が増大すると考えられます。

以上の④点が特に膝に影響を及ぼしている原因だと判断したしました。

他にも上げ出すとキリがない原因の原因がありますが、ここでは割愛いたします。

ラスバル整骨院での施術

【整体】

①手技療法で整体を行い、股関節と足関節の可動域を正常へ戻しました。

②ももの外側の筋肉をしっかりと緩めることで、下腿の外旋を元の正しい位置に戻すようにしました。

③硬くなり、可動性がなくなった膝蓋下脂肪体を直接マッサージし、柔らかさを出しました。

これによって膝の曲げ伸ばしの際に余計な負荷がなくなり、動きがスムーズになります。

【特殊電気治療】

整体を終えた後は特殊電気治療器を用いて、内側広筋を活性化を行いました。

3D EMSを用いて内側広筋を刺激することにより普段使う感覚がわからない筋肉を使いやすくします。

【トレーニング指導】

とにかく膝の痛みで一番大切なことは、内側広筋を使える状態にし、関節を安定させることです。

ですので、次回の来院までにこちらの運動を徹底していただくよう、指導いたしました。

経過

こちらの患者様は膝以外にもいくつか症状があったということもあり、週に１度来院していただきました。

膝の症状を訴えてから１ヶ月後、膝の痛みと違和感は１０段階中２まで下がりました。（数字が大きいほど痛みが強い）

指導したエクササイズを真面目に続けてくださり、内側広筋の筋肉も１ヶ月でかなり発達している様子でした。

毎週１〜２回のサーフィンは続けつつ、２ヶ月後の現在は痛みや違和感はゼロになりました。

この調子で続けていけば膝の機能も回復し、安定性を取り戻していくのではないかと思います。

感じたこと

日常生活では痛みがなくとも、大好きな運動を楽しく行えないことは非常に辛いことだと思います。

症状が出た時にすぐに相談してくださり、自分でできるエクササイズを真面目に毎日行っていただけたこと、非常に嬉しく感じました。

地味なエクササイズではありますが、コツコツと続けてくださる方の回復は非常に早いと、改めて感じる機会でした。

６０代になってもサーフィンを毎週のように行う患者様を心から尊敬いたします。

これからも元気で好きなことを、楽しく行っていただくために、私たちのできることを続けていこうと思っております。

最後までご覧いただきありがとうございました。

ラスバル整骨院
院長　栁澤 昂希