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今回は“坐骨神経痛”の患者様のケースレポートです。
*個人情報保護の観点でプライベートの部分は変更点もあり、必要最低限の情報でお伝えさせていただきます。
坐骨神経痛とは
坐骨神経は人体の中で最も太い神経であり、腰からお尻、太ももの後ろ側を通り、枝分かれしながら足先までつながっています。
坐骨神経痛は病名ではない
坐骨神経痛はひとつの「病気」の名前ではなく、お尻から太ももの後ろ側が痛くなる「症状」を指し、その原因は様々です。
最も多いと言われるのが、「椎間板ヘルニア」によって腰の神経(坐骨神経の出発点)が圧迫されて症状が出る場合です。
他にも、「脊柱管狭窄症」と言われる病気や、お尻の筋肉によって坐骨神経が圧迫される「梨状筋症候群」など、因は多岐に渡ります。
主訴・目的
5年以上前から立位姿勢や歩行時に太ももの裏の痛みが出るようになり、現在は長時間歩くことは難しい状態。
(15分〜30分程度で痛みが強くなる)
寝返りなどの姿勢を変える際にも痛みが起こる。
痛みに耐えながらも日常生活を送り、ここ半年間は毎週近くの整骨院へ通っている。
「痛みを改善し、大好きな旅行へ行けるようになりたい」とおっしゃっておりました。
患者様の状態
姿勢
極度のスウェイバック姿勢、円背
- 筋力の低下(特に腹筋等の体幹部)
- 太もも裏の筋肉の短縮
- 脊柱の可動性低下
が考えられる。
動作
後ろに反る動きのみ痛みがありほとんどできない状態。
他の動作は全体的に可動域が低い。
睡眠
夜間に一度トイレに起きるが睡眠時間等、特に問題はない。
栄養状態
- 大好きな好きな甘いものは痛みが出てから控えている。
- コーヒーも好きだが控えている。
- お酒は特別な日のみ。
- 偏食はなく、バランスは取れている。
- 水分は1日1〜1.5リットルを摂っている。
脳の状態
つまずくことが多く、バランス感覚も低下しており、前庭機能の低下が考えられる。
性格
真面目で誠実。
家事などの自分の役割は無理をしてでも果たし、通っている整骨院の先生に言われたことは真面目に継続している。→真面目に頑張りすぎてしまい、体への負担、心の負担を負っていると考えられる。
ストレス状態
- 痛みのため、楽しいこと、好きなことが何もできていない。
- 以前通っていた整骨院の栄養指導で、好きな食べ物飲み物を制限している。
- 旦那様の病院の付き添い、家事などで忙しい。
以上のことがストレスと感じている。
→ストレス値は高いと考えられる。
評価結果
既往歴に腰椎椎体圧迫骨折、腰部脊柱管狭窄症があり。
今回の痛みは脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の可能性が高いと考えられました。
*柔道整復師に診断の権限はないため、ここまではあくまでも仮説となります。
さらに上記の評価で、
姿勢、動作、脳機能、ストレスの4つが特に痛みを強くしている原因ではないかと判断いたしました。
脊柱管狭窄症とは
背骨には、脳から続く神経である脊髄が通るトンネル(脊柱管)があります。
脊柱管狭窄症とは、骨や靭帯の肥厚、椎間板の突出などで、脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫され、腰の痛みや脚のしびれなどの症状を起こすものです。
加齢により骨や靭帯などが変性して起こることが多く、椎間板ヘルニアに比べ50代以降の高齢者に多くみられます。
長い時間歩くと症状がひどくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる、「間欠跛行(かんけつはこう)」が典型的な症状です。
脊柱管狭窄症は整体では治らない
脊柱管狭窄症は骨や靭帯などの変性で起こることがほとんどで、整体などの手技療法では物理的に治ることはありません。
しかし、物理的に画像上は治っていなくても、症状が改善することはあります。
これまでレントゲンやMRIで物理的に治っていなくでも、症状が改善したケースに何度も出会ってきました。
これは、痛みを出している根本的な部分以外の問題が軽減しているからではないかと考えられます。
同じ痛みや刺激でも、痛みや症状を感じるかどうか、またどの程度強く感じるかは、その人の精神状態、置かれた社会的状況などに左右されます。
施術によって、症状が出ている部分の負担を減らすことはもちろん、脳の一部分の活性や精神状態の変化などによって症状の感じ方が変わるのではないかと考えられます。
施術
初期段階の手技の施術は股関節を中心に関節の可動域を上げる施術を行い、背骨の際の筋肉を緩め、さらに機能を高めるための刺激を行い、次に坐骨神経の通り道を広げるための手技施術を行いました。
また、特殊電気治療を用いて、坐骨神経にハイボルテージ療法を行い、神経の機能改善を行いました。
一度の施術で痛みが消失
手技と特殊電気治療器での施術を終えた後、立ち上がって歩いていただくと、痛みが出ませんでした。
すごく嬉しそうに「嬉しい、背筋も伸びて、歩くのも辛くない!」とおっしゃっていただきました。
しかし、私は現在の状態では30分も歩けば症状は再発すると思いました。
それはまだ、使うべき筋肉が使われておらず、歩き方が改善していないと感じたからです。
施術後の日常生活指導
私は、患者様に歩き方を指導、さらに股関節と腰を中心に3つのストレッチの指導を行いました。
さらに、ストレスの値が高いと感じた私は、食事や飲み物の無理な制限はしなくても良いと思いますと伝えました。
何事も、やりすぎは良くないですが、少しくらい好きな時間をとるようにしたほうが良いと感じたからです。
また、今は痛みがないけれど、時間がたてばまた出てくるかもしれないことを伝え、2週間後に来院していただくよう伝えました。
経過(2ヶ月後の現在)
2ヶ月後の現在。
「今日は渋谷のデパートへ行ってきました。」
「娘と吉祥寺でショッピングに行ってきました。」
「コロナが落ち着いたら旅行へ早く行きたいです。」
と本当に嬉しいことばかり、おっしゃっていただきました。
正直、完全に痛みが0になったわけではありません。
日によって、長時間無理をすれば痛みが出ることはあります。
しかし、明らかに痛みの強さと頻度が減っているとのことでした。
嬉しい限りです。
この調子で痛み0を目指して施術を行なっていきます。
感じたこと
痛みは人の性格を暗くすると、改めて感じました。
はじめにご来院いただいた時は、声は小さく、表情も暗く、ネガティブな発言が多かったのですが、人が変わったかのように、声は大きく、表情も豊かで明るく、前向きな話が多くなりました。
人の幸せを肌で感じることができる、良い仕事だと感じました。
これからも、慢心することなく精進いたします。
ラスバル整骨院
院長 栁澤 昂希
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