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ケースレポート

ぎっくり腰(50代女性)

ご覧いただきありがとうございます。

今回は”ぎっくり腰”(急性腰痛)の患者様のケースレポートです。

ご来院

患者様(50代女性、主婦) 「ぎっくり腰になりました。痛みが強く歩くのもやっとで夫の肩を借りてなんとか向かえます」

旦那様に支えられながら、足を引きずるように腰に手を当て、なんとかご来院されました。

患者様の状態

殿部まで響く腰の激痛 ・前後屈動作、側屈回旋動作どの動作でも痛みが強くなる。

とにかく痛みが強く本人も自分の状態をしっかりと把握できていない状態でした。

 

どの姿勢が一番楽かと聞くと、横向きで寝ている時が一番楽とのことでした。

一番負担がかからない、痛みがない姿勢で問診を始めました。

問診

問診で一番気をつけなければならないことがレッドフラッグです。

レッドフラッグとは見逃してはいけない重篤な疾患が隠されている可能性を考え、整骨院で対応可能な状態かどうかを見極めるものです。

下記のレッドフラッグに当てはまる場合は即病院での精密検査をお勧めしております。

  • 発症年齢が20歳未満
  • 時間や活動性に関係のない腰痛
  • 胸部痛
  • がん
  • ステロイド治療
  • HIVの感染の既往
  • 栄養不良
  • 体重減少
  • 広範囲に及ぶ神経症状
  • 構築性脊柱変形(円背など)
  • 発熱

※腰痛診療ガイドライン参照

レッドフラッグに当てはまる場合

  • 腰椎の感染症
  • 腰椎骨折
  • 拍動性腹部腫瘤
  • 馬尾症候群
  • 腹部大動脈瘤
  • 強直性脊椎炎
  • 悪性腫瘍

このような疾患を疑います。

検査

徹底的に問診を行い、続いては検査をしました。

重篤なヘルニアや神経症状が疑われる場合も状態によっては一度病院での検査も必要になる可能性があるため、整形外科的検査を丁寧に行いました。

問診・検査結果

幸いなことにレッドフラッグに当てはまるような状態ではなく、こちらで対応可能な状態だと判断いたしました。

痛みの原因

実はぎっくり腰の痛みの原因は医学的には未だ分かっていません。

現時点で仮説としては腰の中の動く部分(関節)や軟骨(椎間板)に許容以上の力がかかって怪我をしたような状態(捻挫、椎間板損傷) 腰を支える筋肉やすじ(腱、靱帯)などの柔らかい組織(軟部組織)の損傷

などが考えられています。

今回の原因は過度な反り腰(出っ尻)

患者様が来院された際、一番に気になったことは過度な反り腰(出っ尻)の状態であることでした。

腰椎の過度な前弯により、椎間関節が痛みを引き起こしているのではないかと仮説を立てました。

このように腰椎の前弯が過度に出ている状態です。
*実際の状態は下記の写真よりもひどい状態でした。

 

ベッドに横向きに寝ている状態から仰向けで寝てもらうと、膝を立てた状態では痛みがないが、膝を伸ばすと痛みが強くなりました。
膝を伸ばすということはももの前の筋肉に骨盤が引っ張られ、腰椎の前弯がさらに強くなるということです。

 

前弯が強くなり、痛みが増すということは前弯を無くすことで痛みが和らぐということにもなります。

 

そこで私は施術ベッドの脚側にブロックを入れ、ベッドを斜めにしました。
ベッドを斜めにすることで骨盤が後傾し、腰椎の前弯が減少します。

ベッドを斜めにしたところ、患者様の表情は一変。 「どの姿勢よりも今が一番楽です」とおっしゃりました。

次に、曲げている膝を伸ばしてくださいと指示をすると、痛みなく膝を曲げることができました。

施術

施術をする際に一番はじめに重要になることはリラックス(力が抜ける状態)を作ることです。
力が抜けず施術をおこなっても、効果を得ることはできません。

 

今患者様が一番楽な姿勢が斜めのベッドで寝ることです。

この状態は腰椎の過度な前弯を減少させるため、寝ているだけでも十分な効果を得ることができます。

この状態でまずはリラックスできる状態を作るために、患者さんのお話を丁寧に聞きながら前腕のマッサージを行いました。
*前腕のマッサージは腰痛とは直接の関係はなく、心と体をリラックスさせる目的で行いました。

その後、患者様の恥骨筋が異常に緊張状態であることがわかり、手技で恥骨筋のリリースを行いました。
*恥骨筋は骨盤の過度な前傾を作る非常に強い筋肉です。

施術後

①斜めのベッドに寝ていただく

②リラックスする状態を作るために前腕のマッサージと会話

③恥骨筋のリリース

この3つのみを行った後の患者さんの状態は忘れられません。 とても良い表情で

「不思議なほど痛みがありません」

 

とおっしゃっていただきました。

腰椎の過度な前弯以外にもまだ原因はあるかもしれないなと思っていたところでしたが、驚くほどに症状がなくなり、スタスタと歩いて見せました。

「本当に痛みはないですか?お世辞ではないですか?」と伺うと、小走りで走って見せてくれました。

 

患者様の動きは非常に軽快で、運動学的視点でも何も問題なく動けている状態でした。

油断は禁物

施術終了直後の痛みはなくとも、その後痛みが再発する可能性はあります。

今は一時的に良いだけで合って、これからぎっくり腰になった根本の原因を解決していかないとまた繰り返す可能性があることを説明いたしました。

経過

症状が非常に強く出ていたため、念の為1週間後にご来院をいただきましたが、その後はなんの問題もなく生活できているとのことでした。

よくお話を聞いてみると慢性的な腰痛があること、膝の痛みもあること、肩も痛みがあり上がらないこと。

様々な問題があることがはっきりと分かり、全身をより良い状態にするために月に1〜2回ほど定期的に施術をおこなっている状態です。

ぎっくり腰の施術

私自身、これまで数え切れないほどのぎっくり腰の患者様の施術を行いましたが、同じぎっくり腰でもしっかりと評価をすることで原因と考えられるものが人それぞれ違います。

今回施術した患者様は腰椎の過度な前弯が原因だと考えられましたが、そうでない場合も非常に多いと感じております。

 

人それぞれ、患者様の状態をしっかりと把握した上で症状にあった施術を行うことが何よりも大切なことだと考えております。

 
 

以上。ぎっくり腰(急性腰痛)の症例報告でした。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

ラスバル整骨院
院長 栁澤 昂希


「祖師ヶ谷大蔵駅」北口徒歩1分 / 21時まで診療

ラスバル整骨院
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