論文紹介:British Journal of Sports Medicine(2025年3月号・オンラインファースト)
タイトル: Sprint running mechanics are associated with hamstring strain injury: a 6-month prospective cohort study of 126 elite male footballers
著者: Bramahら(イギリス・サルフォード大学)
ジャーナル: British Journal of Sports Medicine, Online first, March 2025
はじめに:サッカー選手を悩ませる“ハムストリング損傷”
ダッシュした瞬間に「ビキッ」と走る太ももの裏の痛み──。 プロアスリートだけでなく、一般のスポーツ愛好家にも広く知られるこのケガは、「ハムストリングス損傷(Hamstring Strain Injury:HSI)」と呼ばれています。
特にサッカーのように、急加速・ストップ・方向転換を繰り返す競技では、その発症率が非常に高いことが知られています。
今回紹介するのは、イギリスの研究チームがプロサッカー選手126名のスプリントフォームを分析し、ハムストリングス損傷との関連性を明らかにした画期的な研究です。
研究概要:S-MASでスプリントフォームを数値化
この研究では、イングランドサッカーリーグ8クラブに所属する126名の男子選手を対象に、
- スプリント中の動作をビデオ撮影
- 「スプリント・メカニクス・アセスメント・スコア(S-MAS)」という指標でフォームを評価
- その後6ヵ月間、医療スタッフの協力のもとにハムストリングス損傷の発生を追跡
という流れでデータを収集。
結果:フォームの乱れと損傷リスクの関連性
- 過去12ヵ月以内にHSI既往のある選手:23名
- 6ヵ月間の新規HSI発生者:17名(うち14名がスプリント関連)
そして注目すべきは、以下の点:
- HSI既往のある選手は、S-MASの中央値が1ポイント高い
- 新規スプリント関連HSIがあった選手は、S-MASが2ポイント高い
- S-MASが1ポイント上がるごとに、ハムストリング損傷のリスクが33%増加
つまり、「スプリントフォームが崩れている=ケガのリスクが高い」という明確な関連性が示されました。
スプリントメカニクスとは?どんな動きがNGなのか?
S-MASは、以下のような走行中の動作の乱れをスコア化したものです:
- 骨盤の前傾過剰
- ストライドが過度に大きい
- 接地時の脚の伸展過多
- 上体の過剰な反り
これらの動きは、ハムストリングスに過剰な伸張ストレスをかけてしまうため、損傷リスクを高める要因になります。
一般の方にも起こりうる問題
「プロ選手の話だから関係ない」と思われた方もいるかもしれません。 しかし、趣味でサッカー・陸上・ラグビーなどをしている方、あるいは健康維持のためにランニングをしている方も、
「正しいフォームで走れているかどうか」は、ケガ予防にとても大切なポイントです。
「なんとなく自己流」で走っていると、知らず知らずのうちに太ももや腰に負担をかけ、ケガを引き起こしてしまう可能性があります。
ラスバルでできること:フォームの見直しとパフォーマンスアップ
ラスバル整骨院では、
- 動作分析
- 骨盤・体幹の安定性評価
- ハムストリングスや臀筋の筋力・柔軟性チェック
をもとに、
● ピラティスや神経トレーニングによるフォーム改善
● 可動域と安定性の再構築
● ケガの予防と再発防止
をサポートしています。
まとめ:速く走るためには、“正しく走る”ことが前提
速く走ることは、スポーツの中でも華やかで力強い動作です。 しかし、その陰には繊細なバランスとフォームの安定性が求められます。
今回の研究が教えてくれるのは、
“パフォーマンスと予防はセットで考えるべき”
という新しい常識です。
スプリント動作に少しでも違和感や不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
【未来の健康を一緒に創りあげていく】
ラスバル整骨院 栁澤 昂希
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