論文紹介:British Journal of Sports Medicine(2025年3月号)
タイトル: Is hip adductor or abductor strength in healthy athletes associated with future groin pain? A systematic review and meta-analysis
著者: Olmedillasら(スペイン・オビエド大学)
ジャーナル: British Journal of Sports Medicine, Vol.59, March 2025, p.501
はじめに:スポーツを楽しむすべての人に関わる「鼠径部の痛み」
サッカーやラグビー、ホッケーなど、走る・止まる・方向を変えるといった動作を繰り返すスポーツでは、鼠径部(脚の付け根あたり)に痛みを感じることが少なくありません。
「だんだん違和感が出てきたけど、無理して練習してたら痛くなった」 「アイシングしても、また再発する」
そんな声を多く耳にします。
この鼠径部の慢性的な痛みは、グロインペイン症候群(GP)と呼ばれ、アスリートにとって非常にやっかいな問題です。そこで今回紹介するのは、健康な選手が「将来グロインペインを起こすかどうか」を、股関節の筋力から予測できるかどうかを調べた最新の研究です。
研究の概要:未来の痛みは“筋力”から予測できる?
スペインのオビエド大学の研究チームは、1,516人のアスリートを対象にした13件の前向き研究を分析し、「股関節の内転筋(脚を内側に寄せる筋肉)」と「外転筋(脚を外側に開く筋肉)」の強さが将来のGPと関係するかを調べました。
結果:
- 将来GPを起こした選手は、内転筋の筋力が弱い傾向があった
- 一方で、外転筋の筋力や内転・外転筋の比率には、ほとんど差が見られなかった
- 年齢や診断の方法による違いも、結果にはあまり影響を与えなかったとのこと
つまり、「脚の内側の筋肉の強さ」が、未来のケガのリスクと関係している可能性がある、ということが分かってきたのです。
どうして内転筋が重要なのか?
ではなぜ、内転筋がそれほど大切なのでしょうか?
内転筋は、ただ脚を閉じるだけの筋肉ではありません。実は、走る・止まる・方向を変えるといったスポーツの基本動作を安定させるために欠かせない“体の中心を支える筋肉”なのです。
この筋肉が弱っていたり、うまく使えていなかったりすると、
- 骨盤が不安定になる
- 股関節に負担がかかる
- 結果的に鼠径部にストレスが集中する といった状態になり、痛みにつながると考えられています。
一般の方にとっても他人事ではない話
「でも私はアスリートじゃないから関係ない」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、最近は健康や美容のために運動を始める方が増えています。スクワットやランニングなど、日常的な運動の中でも股関節の安定性はとても大切です。この内転筋の弱さは、将来的な膝痛や腰痛にもつながるリスクがあると言われています。
つまり、ケガを予防しながら長く運動を楽しむために、“内転筋を鍛える”ことは、すべての人にとって有益な習慣なのです。
ラスバルではどんなサポートができる?
ラスバル整骨院では、
- 股関節や骨盤の“動きのクセ”を丁寧に評価し、
- 内転筋を含めた筋バランスをチェックし、
- その人に合ったピラティスやトレーニング、施術を提供しています。
また、痛みが出てからの対処ではなく、 「ケガをしにくい身体づくり」=予防型のサポートにも力を入れています。
「ちょっと動いただけで股関節に違和感が出る」 「最近、走ると脚の内側が突っ張る気がする」 そんな方は、内転筋のケアが必要なサインかもしれません。
まとめ:未来のケガを“今”から防ぐ、新しい常識へ
この論文が教えてくれるのは、
“ケガは突然起こるものではなく、日々の小さな積み重ねで予防できる”ということ。
股関節の内転筋は、静かなヒーローのような存在。 目立たないけれど、あなたの身体の中心をしっかり支え、健康とパフォーマンスを守っています。
今のうちから気づき、整えることで、 10年後のあなたの体は、きっともっと自由に、軽やかに動けるはずです。
【未来の健康を一緒に創りあげていく】
ラスバル整骨院 栁澤 昂希
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