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ビタミンDで血糖コントロール?肥満とインスリン感受性の関係を解明

肥満はインスリン抵抗性や糖尿病リスクの増加と密接に関連しているが、ビタミンDがこれにどのような影響を与えるのかに注目が集まっている。最新の研究によると、ビタミンDを補充することで、肥満患者のインスリン感受性が改善される可能性があることが示唆されている。

インスリン感受性とは?

インスリン感受性とは、体の細胞がインスリンにどれだけ効率よく反応するかを示す指標です。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血糖(グルコース)をエネルギーとして細胞に取り込む働きをします。

✅ インスリン感受性が高い状態(良好な状態)

• 少量のインスリンで十分に血糖を処理できる

• 筋肉や肝臓の細胞がインスリンにしっかり反応

• 血糖値が適切にコントロールされ、糖尿病リスクが低い

⚠️ インスリン感受性が低い状態(インスリン抵抗性)

• インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がりにくい

• 膵臓が過剰にインスリンを分泌する必要があり、負担がかかる

• 血糖値が高くなりやすく、2型糖尿病や肥満のリスクが増加


研究概要

イタリアのUniversity of the Sacred HeartのMezzaらが実施した**二重盲検ランダム化プラセボ対照試験(DBRCT)**では、BMIが25kg/m²を超えるビタミンD欠乏症の肥満患者を対象に、3ヶ月間の低カロリー食とビタミンD補充の効果を検証した。

被験者は以下の2つのグループに分けられた。

  • ビタミンD補充群(VD群):経口でビタミンDを補充
  • プラセボ群:ビタミンDを含まないプラセボを摂取

試験の目的 この研究では、ビタミンD補充がインスリン感受性に与える影響を評価することを目的とした。


研究結果

  1. 体重減少の効果
    • 両群とも体重は減少し、VD群では**-7.5%、プラセボ群では-10%**の減少が見られた。
  2. 血清ビタミンDレベルの変化
    • VD群では、血清25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)の値が大幅に上昇
    • プラセボ群では、ビタミンDレベルの顕著な変化は見られなかった。
  3. インスリン感受性の変化
    • VD群ではインスリン感受性が有意に改善(4.6から6.93 mg・kg⁻¹・min⁻¹へ向上)。
    • プラセボ群では、インスリン感受性に変化なし

これらの結果から、ビタミンD補充は肥満患者のインスリン感受性を改善し、糖尿病予防に有効な可能性があることが示唆された。


ビタミンDとインスリン感受性の関係

ビタミンDはカルシウム代謝だけでなく、糖代謝にも影響を与えることが知られている。これまでの研究では、ビタミンDがインスリン分泌を調節する可能性が指摘されていた。

ただし、ビタミンDと糖代謝に関する研究結果は一貫していない部分もあり、今後のさらなる大規模研究が求められる。


ビタミンDを効果的に摂取するには?

ビタミンDは食事や日光浴から摂取できる。

ビタミンDが多く含まれる食品

食品ビタミンD含有量(μg/100g)
サーモン33
いわし(缶詰)25
まぐろ8
しいたけ(天日干し)12
卵黄5
牛乳1.3

また、1日15分程度の日光浴も、体内のビタミンD合成を促進するのに有効である。


まとめ

今回の研究では、ビタミンD補充が肥満患者のインスリン感受性を改善する可能性があることが示された。糖尿病予防や血糖コントロールを考えるうえで、ビタミンDの適切な摂取は重要である。

  • ビタミンD欠乏の人は、サプリメントや食事での補充が推奨される
  • 日光浴を取り入れることで、体内のビタミンD合成を促す
  • 今後のさらなる大規模研究によって、ビタミンDの糖代謝改善効果がより明確になることが期待される

参考文献

  1. Mezza, T. et al. “Effect of Vitamin D Supplementation on Obesity-Induced Insulin Resistance: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Trial.” Obesity, vol. 26, no. 4, 2018, pp. 651-659.
  2. Pittas, A. G. et al. “Vitamin D and Diabetes: Progress Made and Future Directions.” Diabetes/Metabolism Research and Reviews, vol. 28, no. 2, 2012, pp. 103-110.
  3. Holick, M. F. “Vitamin D Deficiency.” New England Journal of Medicine, vol. 357, no. 3, 2007, pp. 266-281.

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