「ラーメンをよく食べる地域ほど脳卒中の死亡リスクが高い」——そんなユニークな研究結果が発表されました。自治医科大学(Jichi Medical University School of Medicine)のMatsuzonoらによるこの研究は、都道府県ごとのラーメン店密度と脳卒中死亡リスクの関連を解析し、意外な結果を導き出しました。
ラーメンと脳卒中の関係を探る
この研究では、NTTデータベースに登録されている日本全国のラーメン店、ファストフード店、フレンチ/イタリアンレストラン、うどん/蕎麦屋の店舗数を分析し、2017年の国民保険データを用いて都道府県ごとの年齢・性別調整後の脳卒中および急性心筋梗塞による死亡率と比較しました。その結果、以下のような重要なポイントが明らかになりました。
- ラーメン店の密度が高い地域ほど脳卒中死亡率が高い(相関係数r>0.5)
- ファストフード店、フレンチ/イタリアンレストラン、うどん/蕎麦屋の密度とは有意な相関なし
- 急性心筋梗塞による死亡率とは関連なし
なぜラーメン店が多いと脳卒中死亡率が高いのか?
研究者たちは、ラーメン店の多さが「地域住民の食習慣を反映している」ことが原因の可能性があると指摘しています。
1. 塩分摂取量の増加
ラーメンのスープには大量の塩分が含まれており、高血圧の主要なリスク因子の一つです。塩分の過剰摂取は脳卒中のリスクを大きく高めることが知られています。
2. 飽和脂肪酸や添加物の多い食生活
多くのラーメンは豚骨や鶏白湯など、動物性脂肪を多く含むスープが使用されています。さらに、加工食品に多く含まれるリン酸塩や化学調味料なども血管の健康に悪影響を与える可能性があります。
3. 偏った栄養バランス
ラーメンが主食になっている地域では、野菜や果物の摂取が不足しがちです。カリウムの摂取不足は高血圧を助長し、脳卒中リスクを高めるとされています。
ファストフード店との比較:心筋梗塞とは無関係?
同研究では、ファストフード店の密度と心筋梗塞死亡率の関連性についても検討されました。しかし、ラーメン店とは異なり、ファストフード店の密度と脳卒中リスクの関連は見られず、心筋梗塞リスクとの明確な関係も確認されませんでした。
一方で、別の研究では「ファストフード店の密度が高い地域ほど心血管疾患のリスクが高い」という結果も示されています(参考研究)。これらのデータは、食習慣と健康リスクの関連が単純ではなく、食文化や生活習慣全体を考慮する必要があることを示唆しています。
健康的な選択肢として「蕎麦」は有効?
研究者たちは、「麺ならば蕎麦の方が健康的な選択肢ではないか」とも示唆しています。蕎麦は、
- 食物繊維が豊富(腸内環境を整える)
- ポリフェノール(ルチン)を含む(血管の健康を保つ)
- 塩分控えめのつゆを選べばリスクを軽減できる
といった健康面でのメリットがあります。
結論:食の選択が健康に与える影響を考えよう
この研究は、「ラーメン店が多い地域ほど脳卒中死亡率が高い」という一見驚くべき結果を示しました。しかし、これは単なる因果関係ではなく、食習慣や生活スタイル全体を反映した結果である可能性があります。
健康を維持するためには、
✅ 塩分摂取を控える(特にスープを残すなどの工夫を) ✅ 野菜や果物を積極的に摂る ✅ 食事のバランスを意識する(麺類だけでなくタンパク質や食物繊維も意識)
といったポイントを意識することが大切です。
食文化は地域ごとの特性があり、すぐに変えられるものではありません。しかし、自分自身や家族の健康を守るために、普段の食習慣を少し見直してみることが、長い目で見て大きな違いを生むかもしれません。
参考文献
- Matsuzono K, et al. “Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study.” Nutrition Journal. 2019;18:53.
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29802148
健康的な食習慣を意識しながら、ラーメンとの上手な付き合い方を考えてみましょう!
【未来の健康を一緒に創りあげていく】
ラスバル整骨院 栁澤 昂希
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