「夜になると脚がむずむずして落ち着かない」「横になると虫が這うような感じがして眠れない」——そんな症状は、むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS/ウィリス・エクボム病)の可能性があります。睡眠の質を大きく下げ、日中の集中力や気分にも影響する“見過ごされがちな”神経系の不調です。
こんな症状はありませんか?(URGEチェック)
RLSは次の4つが揃うと疑います(覚え方:URGE)。
URGE(アージ) は「衝動・強い欲求」という意味があります。
- U(Urge):脚を動かしたい“衝動”が出る
- R(Rest):安静時(座る・横になる)に強く出る
- G(Gets better):動くと軽くなる(歩く・伸ばす・さする など)
- E(Evening):夕方〜夜に悪化しやすい
症状はふくらはぎ~足先が多いですが、太もも・腕・体幹に広がることも。チクチク・ズンズン・ムズムズ・火照る感じなど人それぞれの表現で現れます。
なぜ起こるの?(原因の考え方)
- ドーパミンと“脳内の鉄”のアンバランス:ドーパミンの働きに鉄が不可欠。脳内鉄が不足すると神経の調整が乱れ、RLSが出やすくなります。
- 体質・遺伝:家族内に多い傾向。
- 二次性RLS:妊娠後期、慢性腎不全(透析)、鉄欠乏、糖尿病、末梢神経障害、静脈うっ滞などが背景にあるタイプ。
- 薬剤で悪化すること:一部の抗うつ薬(SSRI/SNRI など)、抗ヒスタミン薬、ドパミン拮抗薬など。
鉄分との深い関係(検査と補充の目安)
- ポイント:血液中のヘモグロビンが正常でも、脳内の鉄が不足しているとRLSは起こり得ます。
- まず確認したい検査:フェリチン(貯蔵鉄)・トランスフェリン飽和度(%TSAT)。
- 目安:フェリチンが目安値(例:75〜100 ng/mL未満)や、%TSATが低い場合は鉄補充を検討。経口鉄が合わない/効きづらい時は静注鉄が用いられることもあります。
- 自己判断はNG:鉄は“多ければ多いほど良い”わけではありません。医療機関で数値と体調を見ながら進めましょう。
ストレス・自律神経との関係
ストレスが強いと交感神経が優位になり、脚の違和感が増し、眠りが浅くなります。すると翌日さらにストレス耐性が下がる——「ストレス↔不眠↔RLS増悪」の悪循環に。呼吸・入浴・軽運動などで“副交感神経に切り替える時間”を意識しましょう。
年齢とRLSの特徴
- 子ども・若年者
鉄不足が背景にあることが多く、まずは鉄評価と補充が中心。薬物は基本的に慎重で、生活リズム改善や睡眠衛生の工夫が大切です。 - 成人(20〜60歳代)
最も多く見られる年代。ストレス・カフェイン・生活習慣が症状に影響しやすい時期。鉄補充+生活習慣調整を行い、重度の場合はα2δリガンド(プレガバリン・ガバペンチンなど)を検討します。 - 高齢者(70歳以上)
発症率がさらに高まり、透析・糖尿病・神経疾患・薬の影響など「二次性RLS」が多くなります。薬剤は副作用(ふらつき・転倒など)に注意し、少量から調整。鉄補充も心不全や感染症がないかを確認しながら行います。
受診の目安(医療機関で相談を)
- 週に2〜3回以上、または3か月以上続く
- 妊娠中、小児での症状
- 昼間の眠気・集中力低下が目立つ
- 腎不全・貧血・神経障害などの持病がある
- 薬をきっかけに悪化した疑い(抗うつ薬・抗ヒスタミン薬など)
今夜からできるセルフケア(睡眠前30分ルーティン)
- 温める:就寝60〜90分前の入浴(10〜15分)。足湯でも可。
- ほぐす:
- ふくらはぎ・ハムストリングのやさしいストレッチ(反動をつけない)
- ふくらはぎを指圧・軽擦(痛気持ちいい強さ)
- 動かす:
- 足首ポンピング(つま先上下)各1分×2セット
- カーフレイズ(低負荷)10回×2セット(就寝直前は追い込み過ぎない)
- 呼吸:鼻から4秒吸う→6秒吐く×5〜10呼吸。リラックスを意識する。
- 避ける:カフェイン(6時間前まで)・アルコール(寝酒)・喫煙、就寝前のスマホ長時間。
※ 日中の過度な高強度運動は夜の症状を悪化させることがあります。負荷は中等度を目安に、週3〜5回・20〜40分程度の有酸素+ストレッチをコツコツ継続。
ピラティスや鍼灸・徒手療法は効果がある?
研究や臨床経験から、ピラティスや軽い運動は下肢の血流や自律神経を整え、症状の軽減に役立つとされています。また、鍼灸や徒手療法もリラクゼーションや血流促進を通じて、症状の改善に寄与する可能性があります。薬や鉄補充の“補完療法”として取り入れることで、睡眠の質や日中の快適さが向上する例もあります。
医療の“標準治療”をかんたんに
- 増悪因子の見直し:カフェイン・アルコール・喫煙、睡眠時無呼吸、増悪しやすい薬剤の整理。
- 鉄の評価と補充:フェリチン・%TSATを確認し、必要に応じて経口鉄や静注鉄を選択。
- 薬物療法:近年はα2δリガンド(ガバペンチン/プレガバリン/ガバペンチンエナカルビル)が第一選択になりやすく、ドパミン作動薬は長期の“増悪(augmentation)”リスクを考え慎重に用います。
- その他:末梢神経刺激デバイス、難治例では専門医の管理下でオピオイドなど。
まとめ
- RLSは夜間・安静時に悪化し、動くと楽になるのが特徴。
- 鉄の最適化とストレス・睡眠の整えが土台。ピラティスや鍼灸・徒手療法は“補完療法”として有用。
- 発症は40歳以降に多いが、子どもや妊娠中にも出る。年齢や背景によって治療方針は変わるため、医療機関での相談が大切です。
参考(専門的リソース)
- American Academy of Sleep Medicine (AASM). Clinical Practice Guideline for the Treatment of Restless Legs Syndrome and Periodic Limb Movement Disorder in Adults. J Clin Sleep Med. 2024.
- International Restless Legs Syndrome Study Group (IRLSSG). Task Force Report on Iron Treatment for RLS. Sleep Med. 2018.
- National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS). Restless Legs Syndrome Fact Sheet.
- Trenkwalder C, Allen RP, Högl B, Paulus W, Winkelman JW. Restless legs syndrome associated with major diseases: a systematic review and new concept. Neurology. 2016.
- Cochrane Database: Exercise for restless legs syndrome(有酸素運動・ストレッチの有効性に関するレビュー)
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ラスバル整骨院 栁澤 昂希
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