握力が健康のバロメーター?
私たちの健康状態を測る指標には、体重やBMI、血圧などさまざまなものがありますが、「握力」もその一つであることをご存じでしょうか?特に高齢者の健康予測因子として握力の重要性はよく知られていますが、子どもの健康にも影響することが最新の研究で明らかになりました。
今回は、米国ミシガン大学の研究チームが発表した「握力と青少年の健康維持および向上の関連」について、一般の方にも分かりやすく解説していきます。
握力と健康の関係を探る研究
ミシガン大学のMark D. Peterson氏らは、Cardiovascular Health Intervention Program に登録された474名の青少年(男女)を対象に、2年間にわたる前向き研究 を実施しました。研究では、以下の健康リスク因子の有無を調査し、それと握力の関係を分析しました。
- 体脂肪率
- 空腹時血糖値
- 血圧
- 血中トリグリセリド(TG)値
- 高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)値
握力は「体重に対する握力の比率(Normalized Grip Strength: NGS)」を基準として測定し、一定のカットオフ値を用いて 「低握力群」 と 「高握力群」 に分類しました。
握力が強い子どもほど健康リスクが低い
研究の結果、握力が強い青少年は健康状態が良好に保たれる可能性が高いことが分かりました。
- 低握力群の子ども は、高握力群の子どもに比べて健康リスク因子を持ち続ける割合が大幅に高かった
- 男子:低握力群 60.2% vs 高握力群 15.3%
- 女子:低握力群 51% vs 高握力群 21.9%
- 高握力群の子ども は、健康を維持する可能性が高く、健康改善の確率も高かった
- 健康維持のオッズ比(OR):3.54(95%信頼区間 1.80-6.97)
- 健康改善のオッズ比(OR):1.30(95%信頼区間 1.05-1.60)
この結果は、握力が子どもの健康状態を予測する強力な指標であることを示唆しています。
低握力と高握力の基準値とは?
では、具体的にどの程度の握力が「低握力」や「高握力」とされるのでしょうか?
本研究では、体重に対する握力の比率(NGS) を基準とし、
- 男子:NGSが0.45未満 → 低握力、0.45以上 → 高握力
- 女子:NGSが0.40未満 → 低握力、0.40以上 → 高握力
というカットオフ値が設定されました。
例えば、体重50kgの男子の場合、握力が 22.5kg(50kg × 0.45) 以上あれば「高握力」に分類され、それ未満なら「低握力」となります。
握力を鍛えることの重要性
本研究の結果から、握力を鍛えることが子どもの健康維持に役立つ可能性が示されました。握力を向上させるためには、以下のようなトレーニングが有効です。
✅ ハンドグリップトレーニング:握力を鍛える専用の器具を使用する ✅ 懸垂(チンアップ):握力とともに上半身全体の筋力も向上 ✅ デッドリフトやファーマーズウォーク:全身の筋力と持久力を同時に鍛える ✅ クライミングやロッククライミング:握力と指の力を強化
特に、全身運動と組み合わせたトレーニングが効果的であり、筋肉量を増やすことで健康リスクを低減できる可能性があります。
まとめ:握力を健康診断の指標に?
握力は単なる「手の力」ではなく、子どもの総合的な健康状態を示す重要な指標 であることが今回の研究で明らかになりました。
もし、この研究結果がさらに確認されれば、今後は 学校の健康診断などでも握力測定が取り入れられる 可能性があります。握力を向上させることは、単なる筋力アップだけでなく、将来的な健康維持にもつながると考えられます。
参考文献
- Peterson, M. D., Gordon, P. M., Smeding, S., & Visich, P. (2018). Grip Strength Is Associated with Longitudinal Health Maintenance and Improvement in Adolescents. The Journal of Pediatrics. doi:10.1016/j.jpeds.2018.07.001
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ラスバル整骨院 栁澤 昂希
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