みなさんは“マインドフルネス”をご存知でしょうか?
なんとなく聞いたことあるけど、何をするものなのか、良くわからない方は多いと思います。
私はよく、患者様にマインドフルネスを生活に取り入れることを勧めています。
マインドフルネスや瞑想は宗教的なものじゃない?と敬遠していたら非常にもったいない!
マインドフルネスは科学。行動医学です。
というのもマインドフルネスは、医療領域から誕生したものです。
MIT出身のマサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバット・ジン先生が、禅の思想・瞑想体系を解剖し、ストレスや痛みに悩む方向けに医療として提供し出したのが始まりです。
今回はこの“マインドフルネス”について、科学的根拠(エビデンス)をもとに、詳しく語っていきたいと思います。
マインドフルネスとは?
マインドフルネス=「気づき」
直訳するとこういった意味になります。
「自分の状態についてしっかりと気づけていること」これを“マインドフルネス”と言います。
マインドフルネスの真逆の言葉は“マインドレスネス”と言います。
これは、「今自分が実際におこなっていることと、意識を向けていることが違う状態」のことを言います。
例えば、
- ご飯を食べながらテレビやスマホに集中する。
- 運動をしながら、仕事のことを考える。
- 歯磨きをしながら、スマホに意識を向ける
このようなことが、マインドレスネス。
マインドレスネス状態は脳の負担が強く、脳に疲れを与えてしまいます。
では、マインドフルネスとは、
- ご飯を食べながら食材の味や食感、温度を感じる。
- 運動をしながら関節や筋肉の動きに意識を向ける。
- 歯磨きをしながら、ブラシが当たっている歯に意識を向ける。
このようなことを言います。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスの効果について、様々な論文や研究で発表されているものをご紹介いたします。
マインドフルネスの効果は大きく分けて4つあると言われています。
- 集中力の向上
- 感情調整力の向上
- 自己認識能力の向上
- 自己統制能力の向上
また、効果を具体的に、また間接的なものも含めると以下の効果が発表されています。
- ストレスに対する回復力の向上 (レジリエンス・折れない心・しなやかな心)
- 仕事のパフォーマンスの向上 (集中力・注意力・記憶力・判断力・創造力)
- 睡眠の質の向上 (不眠・寝つき)
- 感情調整力の向上 (不安・落ち込み・怒り・恐怖・自己嫌悪)
- 自己認識への変化 (思考ループの抑制・落ち着き・欲望コントロール)
- 他人を思いやる慈愛心・チームワーク力の向上
- 心の知能指数であるEQの向上
- 免疫機能の改善 (自律神経・皮膚疾患・痛み・肩こり)
- その他 (禁煙・ダイエットなど)
特に、
- うつ病の予防
- 慢性疼痛の緩和
- ストレスや不安の軽減
- 睡眠の質の向上
など、人々の生活の質を高める効果は注目度が高く、高いエビデンスが実証されています。
呼吸瞑想
マインドフルネスの代表的なものとして「呼吸瞑想」があります。
呼吸瞑想は「自分の呼吸に意識的に注意を集中する」瞑想の方法です。
心を無にしようと、上手にやろうと思わずに、好奇心を持ってやることが大切です。
【呼吸瞑想の方法】
1.背筋を伸ばしてあぐらの状態で座る
2.視線を斜め前に落とす、または目を閉じる
3.自然に呼吸し、注意を呼吸に向ける(鼻呼吸)
意識的に呼吸をする必要はなく自然に呼吸し、息を吸ったときに、空気が鼻のどこを触れているのか、吸った空気の温度はどのくらいか、吸った空気と吐いた空気の入れ替わりはどのタイミングか、など呼吸の感覚を味わいます。
4.注意がそれたことに気づいたら、何に注意がそれたのかをそっと心にメモして、注意をまた呼吸に戻す(※1~4を最初のうちは5~10分ほど繰り返す)
呼吸に意識を集中しているつもりなのに、仕事や家族のことなど、さまざまな雑念が湧いてくることがあります。
そのたびに、呼吸に意識を戻します。
ここで大切なのは、『しまった、また雑念が湧いてしまった』などと自分を責めるのではなく、雑念が湧いたことを受け入れ、ただ“淡々と戻ってくる”ことです。
『雑念が浮かぶ → 浮かんだことに気づく → 何が浮かんだかを心にメモして淡々と戻る』
を繰り返すことで、実生活においても自分の注意をいつでも『今』に戻すことができるようになります。
これは、筋トレと同じ。何度も繰り返して訓練をすることで、いわば『心の筋力』を鍛えることになります。
そうして『心の筋力』を鍛えることができれば、日常生活や仕事においても、態度や気分をコントロールしやすくなります。
ボディスキャン瞑想
呼吸瞑想の次におすすめの瞑想は「ボディスキャン瞑想」です。
ボディスキャン瞑想は「自分の身体に意識を向ける」瞑想の方法です。
自分の身体に意識を向け、リラックスする感覚を覚えていきます。
【ボディスキャン瞑想の方法】
1.ベッドやマットの上にあお向けに力を抜いて寝ます。
足は肩幅に、両手は手のひらを上にし、体の横へ置きます。
2.呼吸を整えます。
3回ほど大きな深呼吸をした後、自然な呼吸に戻しましょう。
3.体の一部に意識を向けます。
右足→左足→右手→左手→体幹→首→顔→頭
の順に意識を向けます。
意識を向けている部分に呼吸を送るイメージで、一つ一つの部位がリラックスできているか確認をしましょう。
できるだけ繊細に、指先一本一本細かく意識を向け、温かい、痺れ、ふんわり、何も感じない、など、ありのままの感覚を味わいます。
YouTubeなどで「ボディスキャン瞑想」と検索し音声などに誘導されながら行うのもおすすめです。
ボディスキャン瞑想は体の力を抜くのが苦手な方や寝つきが悪い方に非常におすすめです。
瞑想中に寝てしまっても何も気にすることはありません。よりリラックスした状態で良い睡眠をとることができます。
まとめ
ご紹介した以外にも「歩く瞑想」「食べる瞑想」「書く瞑想」など、様々なものがあります。
もし興味がある方はぜひ調べてみてください。
マインドフルネスは筋トレと同じで毎日行うことがポイントです。
40分程度行うのが理想とされていますが、1分や5分でも毎日行うことで効果を得ることができます。
まずは1分からでも行ってみましょう。
研究によると、マインドフルネスを4週間の継続で51.6%の方が、8週間の継続で85.3%の方が効果を実感したとされています。
私自身、8週間の継続で明らかに効果を実感することができました。
1日の始まりや、1日の終わりにぜひ行ってみてください。
心と身体は密接に影響し合っています。心と身体の健康を目指しましょう◎
最後までご覧いただきありがとうございました。
最後におすすめのマインドフルネス瞑想のyoutubeリンクを貼らせていただきます。
ぜひ参考にしてみてください。
〈初級〉
〈中級〉
ラスバル整骨院
栁澤 昂希
参考文献
- Wielgosz J, Goldberg SB, Kral TRA, Dunne JD, Davidson RJ. Mindfulness Meditation and Psychopathology. Annu Rev Clin Psychol. 2019 May 7;15:285-316. doi: 10.1146/annurev-clinpsy-021815-093423. Epub 2018 Dec 10. PMID: 30525995; PMCID: PMC6597263.
- Schuman-Olivier Z, Trombka M, Lovas DA, Brewer JA, Vago DR, Gawande R, Dunne JP, Lazar SW, Loucks EB, Fulwiler C. Mindfulness and Behavior Change. Harv Rev Psychiatry. 2020 Nov/Dec;28(6):371-394. doi: 10.1097/HRP.0000000000000277. PMID: 33156156; PMCID: PMC7647439.
- Prakash RS. Mindfulness Meditation: Impact on Attentional Control and Emotion Dysregulation. Arch Clin Neuropsychol. 2021 Oct 13;36(7):1283-1290. doi: 10.1093/arclin/acab053. PMID: 34651648; PMCID: PMC8517620.
- Lu C, Moliadze V, Nees F. Dynamic processes of mindfulness-based alterations in pain perception. Front Neurosci. 2023 Nov 9;17:1253559. doi: 10.3389/fnins.2023.1253559. PMID: 38027503; PMCID: PMC10665508.
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